数学(算数)の問題を解くということ

 数学(算数)の問題を解くということは、問題文で与えられている条件を、その意味を変えないように簡単に言い換えていく営みのことです。すなわち、与えられた条件を同値変形していくことが基本になり、これができないと数学が得意になることはまずありません。「ほとんど合っていたけど、この条件を忘れた」ということが頻発するような人は、惜しいどころか数学の基本がおさえられていない可能性が高いので、要注意です。

 まずは、基本的な同値変形については覚えて機械的にできるようにしておくことが肝要です。例えば、連立方程式の処理や量化文の基本処理がそれにあたります。

 y=10-x ∧ x-y=2 ⇔ y=10-x ∧ x-(10-x)=2 (代入法)

 x+y=10 ∧ x-y=2 ⇔ (x+y)+(x-y)=10+2 ∧ (x+y)-(x-y)=10-2 (加減法)

 ∃y∈R [ y=10-x ∧ x-y=2 ] ⇔ x-(10-x)=2

 ∀y∈R [ y=10-x ⇒ x-y=2 ] ⇔ x-(10-x)=2

 本当に同値か自信がない場合は、A ⇔ Bの成立を確かめるのに、A ⇒ B、B ⇒ A双方向の成立を確かめればよいですが、BだったらAが成立し、BでなかったらAが成立しないことを確認するほうが簡便なことも多いです。

 難しい問題になると、同値変形が簡単でない(処理が重い)場合が出てきます。そこで登場するのが、必要条件(題意より緩い条件、広い条件)を考えることで解であり得ないものを除外、十分条件(題意より厳しい条件、狭い条件)を考えることで解であるものをとりあえず確定するという考え方です。除外も確定もされず残ったものについてのみ解かどうか吟味すればよく、処理が軽くなる可能性があります。次の東大の問題をこの方法で解いてみましょう(この方法は少し閃きを要するので私であれば同値変形のみで解きますがそれは別の機会に紹介します)。