天体の見かけの動きを理解するための準備
太陽や月、星はとても身近ですのでついつい娘に説明したくなってしまいます。しかし、天体の見かけの動きを1年生に理解してもらうのはとても難しいように思いました。というのも、立体を頭の中で自由に動かせる力、絶対運動から相対運動を考える力、複数の運動を分離・合成する力など、かなり高度な内容が要求されるからです。なので準備段階としてまずは以下のような経験を積んでもらうことにしました。
- さまざまな方向からの物体の見え方の理解
これは天体に限らず、各教科に関係する重要な基本能力です。自分が観察者になりきって想像するというのが王道なのかもしれませんが、観察者が自分と一致するように観察者・物体もろとも頭の中で動かしてしまうという方法も理解してもらいました。後者は裏から見たらどうなるかとか、逆立ちしたらどうなるかなど、やや想像が難しい場面で特に有効なように思います。
- 光源と影の理解
月の満ち欠け、日食、月食の理解に必要です。これは日常生活で簡単に経験が積めます。影から光源を見たらどのように見えるかということも、経験してもらいました。
- 相対運動の理解
見かけの運動の理解に必要です。自分で並進運動や回転運動をしてもらい、周囲の景色が、見かけ上どのように動くか経験してもらいます。このとき、近くの景色と遠くの景色とで見かけ上の動きがどのように異なるかに注意します。月や周りの木を指差しながら夜道を散歩してみるとその違いがはっきり分かると思います。
- 現象の観察
- 太陽が、東から西(北半球では南を通るので左から右)に動くこと
- 太陽のある方角が、時刻と一対一対応すること
- 月(、星)も、一日の間では(ほぼ)同じように東から西に動くこと
- 実際には太陽に対して、月が東に(星が西に)徐々にずれていくこと
- 月の形が日々変化すること(北半球では右から現れて、右から欠ける)
- 太陽と月の相対位置が、月の形と一対一対応すること
- 季節によって見える星座が異なること
などを観察を通して常識にしてもらいます。
- 天体の絶対運動の知識
これは経験というわけにはいかないので、本や動画、自然博物館などで取得しましょう。
最終的に以上を統合すれば天体の見かけの動きが説明できるようになるはずですが、1年生は次のような絵本でなんとなく雰囲気がつかめれば十分なように思います。